東アジア選手権もいよいよ大詰め。
大会優勝を賭けた日本対韓国戦。

前半
試合開始序盤から一進一退の攻防。どちらも試合の主導権を握ろうと中盤のチェイシングが激しく、ボールが落ち着かない状態が続く。
試合が進むにつれて序々に韓国ペースに。サイドを積極に仕掛けてくる。
「ヤバイなぁ…」と思っていたのもつかの間、韓国に左サイド深い位置をえぐられ、クロスをヨム・ギフンにボレーで合わされて日本先制される。
その数分後、橋本のクサビをケンゴが豪快なミドル!惜しくもポストを叩く。思わず溜息。
その後も試合は韓国優勢、日本はセットプレーで得点機を得るが、結果には結びつかず。
1点のビハインドを負い、前半終了。

後半
やや守備寄りにシフトの韓国に対し、日本は何が何でも得点を!の積極性の見える立ち上がり。
前半とうって変わってボール支配率を高め、両サイドに散らしての攻撃。
積極性が実ったのは後半23分。セットプレーから内田が流しこんだボールを詰めていた山瀬が絶妙のミドルで韓国ゴールに突き刺す!。
韓国GKも動けない見事なシュートで日本、同点に。
その後は日本ペースで試合が動くも追加点には至らず。
日本、FW2枚投入のパワープレー気味にシフトするも韓国の分厚い守備に阻まれ、得点は生まれず。

結果、1対1の引き分けに終わり、得失点差で上回る韓国が大会優勝。
日本はまたしてもタイトルに手が届きませんでした。

で、雑感&大会総括。
日本は諸事情から大幅にメンバーを入れ替えざるを得ない状況になり、この試合に至っては「CBがもし故障したら…」という
かなりの背水の陣のサッカーでしたが、臆する事なく勝ちを狙いに行った姿勢は良いですが。
前半序盤に再三サイドを突破され、攻撃の起点を作られたのは課題点ですが、後半にはその課題も修正。
韓国に負けじと中盤のプレスを厚くし、後半は守備を崩される事なく、ほぼカウンター攻撃のみに抑える事が出来ました。

対して韓国、最近の諸事情は知りませんが世代交代が著しいようで、聞き覚えのある選手はキム・ナミルのみという若返り振り。
その若さ故前半序盤から飛ばしてましたが後半はやや失速。前半見られた分厚い中盤のプレスも間延びしてきて、日本はここを突きたかったんですけど、
それも叶わず守り勝ちされてしまいました。
察するに世代交代は上手くいっているようで。今大会優勝という結果も新生韓国代表の自信に繋がってしまう事でしょう。
日韓戦という事でどうしても煽りたがるんでしょうけど、非常にフェアでクリーンな試合でした。まあ、この前の酷い試合の後ですしね。

課題は…
相変わらずスペースでは無く足元のパス多様。スペースの無い中盤で相手を背負いつつのプレーもほとんどがロストボール。
中盤でのタメがほとんど無く、縦に速いパスでの攻撃一辺倒。これでは相手は守り易いですよね。
これに関連して日本の中盤はかなり消えている時間が多かった。

トップ。田代は運動量豊富で再三のターゲットマンになったが、肝心のバックアップが今ひとつ遅れ、文字通りのワントップで孤立。
試合終盤は疲れでトラップもおぼつかない状況になったが、あれだけ走れば…という感じ。

中盤。前記の通り、中盤無視の展開がしばし有り、また肝心のタメが無いので、どうしても手狭になる展開。
このメンツで暫くいくならば、誰か強引なプレーをしてもいいんじゃないかな〜、という感じの遠慮し具合が垣間見える。

バック。前半は…。ですが、後半は既に職人の風格漂う中沢、今野の汗かき役で安定。
サイド攻撃、内田が光ったが肝心の守備がどうも…。
安田にしても又然り、上がりには期待感を持たせますが、守備がどうも…。
まあ、まだ若いですからね、2人とも。これから、これから。
加地は申し訳ないけど左CBとしては地蔵。現時点では駒野のバックアップという枠を越えてない。

正直中国戦を見た後には、「もうこんな大会出なくていい!今すぐ帰っておいで〜」という気分でしたが、
厳しい中での収穫はあったようで。

まず、安田、内田の飛び級の成長。
ポジション的に微妙ではありましたが、二人ともオフェンス面では光る物を見せました。
ディフェンス能力はこれからの練習で高めればいいと思います。まず攻撃ありき、だと思うし。

次に岡田監督指揮下の元での初のタイトル戦という事で、それなりに厳しい試合を重ねられた事。
監督自身にもかなりの試合感と積み重ねられたのでは無いかと思います。
その岡田監督。
大会参加前から多分、構想の中の選手が1人、また1人と消えゆく中での選出も相当に頭痛かったと思われます。
その中で、天性というべき、交替のドンピシャ振りは相変わらず。韓国戦こそ振るいませんでしたが、北朝鮮戦、中国戦共に采配がズパリのゲームプランでした。

それに選手、3試合共にほぼアウェイという難しいゲームで、萎縮する事なくプレー出来たメンタル面の成長は顕著。
これからのリーグ戦、W杯予選共に、この経験は活かされる事でしょう。

終わってみれば1勝2分けという、負けなしの試合結果。
タイトルこそ取れませんでしたが、選手、スタッフ共に「今出来る事をやろう」というのを見て取れた大会参加でした。
課題は目に見えたはず、修正は難しくない。